昼間のタイが「微笑みの国」なら、夜のタイは「欲望の迷宮」だ。太陽が地平線に沈むと同時に、この国の理性はスイッチを切る。お寺巡りやショッピングだけで満足して帰る? 正気とは思えない。タイ旅行の真髄は、熱帯の夜風とネオンが混ざり合う、あのアブノーマルな高揚感の中にこそあるのだから。世界中の紳士淑女が仮面を脱ぎ捨て、本能のままに彷徨う「大人の遊園地」。その扉を今、こじ開けよう。
まずは首都バンコクの三大聖地へ足を踏み入れろ。ナナプラザ、ソイ・カウボーイ、パッポン通り。そこはまるでSF映画『ブレードランナー』の世界だ。視界を埋め尽くす極彩色のネオンサイン、通りに溢れる呼び込みの熱気、そして多国籍な欲望が交錯する喧騒。ピンク色のライトに照らされたこの空間では、日本の常識など通用しない。ただ圧倒的なエネルギーに身を任せ、グラスを傾ける。その背徳感こそが、日常で凝り固まった脳みそを解きほぐす最高のスパイスになる。
だが、タイの夜遊びは「赤い光」だけではない。爆音に身を委ねたいなら、バンコク屈指のクラブ街RCA(Royal City Avenue)や、ハイソな若者が集うトンローへ向かえ。Route66やOnyxといった巨大クラブでは、世界トップクラスのDJが空間を支配し、レーザービームが夜を切り裂く。言葉の通じないタイ人の若者や各国の旅人と肩を組み、重低音に合わせて朝まで飛び跳ねる。そこにあるのは、国境も肩書きも関係ない、純度100%の「熱狂」だけだ。
都市の喧騒を神の視点で見下ろしたいなら、ルーフトップバーへ逃げ込め。地上数十階、空に近い場所で、宝石箱をひっくり返したような夜景を眺めながらカクテルを啜る。眼下には欲望渦巻くカオスが広がり、ここには洗練された静寂がある。この「聖と俗」の落差を行き来することこそ、タイの夜遊びにおける究極の贅沢であり、一度味わえば病みつきになる麻薬的な体験だ。
そして忘れてはならないのが、地方都市の狂気だ。東洋一の歓楽街、パタヤのウォーキングストリートや、プーケットのバングラ通り。ここではビーチリゾートの開放感も相まって、バンコク以上にタガが外れている。道路そのものが巨大なパーティー会場と化し、通り全体が揺れるほどの振動と熱気があなたを飲み込む。
安全地帯から眺めているだけの人生はもう終わりだ。治安とマナーという最低限の武器だけを携えて、この混沌の海にダイブしろ。理性を溶かす熱帯の夜が、あなたの「野生」の覚醒を待っている。